相続不動産とは
被相続人(親族等)の死亡により、被相続人の不動産は、相続人に相続されます。これを相続不動産といい、一般の不動産と違うメリット・デメリットがあります。ここでは、共有不動産と単独不動産とをまとめて説明します。
相続不動産のメリット
1. 被相続人が取得した日を起算日として、不動産取得時期が起算できますので、長期譲渡取得になりやすく、売却に際して税制面での優遇が受けられやすい。(長期譲渡所得・短期譲渡所得)
2. 利用していない不動産を相続するケースが多いので、現地案内等、売却手続きがスムーズに行きやすい。(更地への変更や、リフォーム等の対応がしやすい。)
3. 売却代金により相続税の補填、現金化ができる。(相続不動産は、利用しない不動産を取得した場合、半年内に売買されているケースが多いようです。)
相続不動産のデメリット
1. 使用しない不動産であっても、維持費(マンションの管理費・積立金、土地の除草費用等)や固定資産税の支払い、管理義務は所有者が負わなければならない。(税金の支払い・メンテナンスの費用負担・隣地等からのクレーム対応の問題)
2. 相続人が数名いる場合でも、相続不動産は、共有名義不動産(数名の相続人で持つ状態)となり、持分に応じて、固定資産税や維持費の負担が発生します。また、管理の義務もあるので、隣地からのクレームは共有者の誰にも請求できます。(共有者との役割分担と費用負担の問題)
3. 共有のままでの持分の売買は、「自由に利用できない共有不動産」と知ったうえで買うわけですから、価格は随分安くなります。また、外部の第三者が買えば、持分のある所有権者として共有者間に介入するわけですから、トラブルに発展することも多分に考えらます。(第三者の権利のある不動産の売却の問題点)
4. 県外在住者など、相続を重ねる程、疎遠な方との共有状態になり話し合いが進まず。費用負担のみ発生する可能性があります。一例ですが、40坪の土地を最初は2名で相続して、更に1つが3名での相続がありました。この場合、40坪×1/2の方1名と40坪×1/2×1/3(約7坪)の方3名の共有地となり、4名での話し合いになります。さらに、公道に面して間口が狭く、奥行きが長い60坪の土地があったと仮定します。これを親族である A、B、C の3名が3分の1の割合で共有している場合、分割の際には、基本的に60坪の土地を道路に面して3分割するのですが。間口が3メートルしかない場合は、間口1メートルの奥行きの長い土地になります。また更にその内の1つに相続が発生した場合、1メートルを相続人の数で分割というようになります。こうなると土地の利用方法が限られますので、相場以下の取引しかできません。もしかしたら売却する事自体が困難な土地になる可能性すらあります。(接道に沿っての共有分割の問題点)
5. 共有物には利用の制限があります。共有(名義)不動産とは、複数人が所有権を持ち合っている状態のことですから、「他の共有者全員の同意」を得なければ下記のことなどはできません。(利用の制限と持分による権限の問題点)
・ 土地が共有の場合 : 土地の利用形態・形質の変更、建築など。
・ 建物が共有の場合 : 家屋取り壊し、大規模改造、新築への建替えなど。
・ 共有不動産全体の売却など。
※たとえ、親族間の共有不動産であっても、他の共有者の合意を得ずに強行することは財産を侵害することとなり、法的紛争の原因になります。
以上のように、共有(名義)不動産や単独(名義)で利用しない場合は問題が多いものです。
そこで、当社では、相続を専門とする司法書士・弁護士の相談を交えながら、権利関係が複雑になる前に、最善の方法による相続財産の売却を行っております。
成約報酬についても、一般の不動産売買と同じですので、ご安心下さい。